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月刊シニアビジネスマーケット 2015年9月号
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定価:本体3,400円+税 |
[特集]
どう取り組む「総合事業」
――地域づくりと在宅介護のシナジー
今年4月から「介護予防・日常生活支援総合事業」、いわゆる「総合事業」がスタートした。介護予防給付のなかの「介護予防通所介護」「介護予防訪問介護」が、各自治体による事業へと移行されたことにより、介護予防のあり方が大きな曲がり角を迎えているのは周知のとおりだ。
総合事業の内容が発表された当初は、「要支援切り」などと批判の声も聞かれた。しかしながら、この制度が目指すのは、単なる費用の抑制ではなく、この先の高齢者と要介護人口の拡大を見据えた諸施策とも密接にリンクしたものといえる。
とくに、介護人材の不足は喫緊の課題だが、総合事業ではそれを支えるため、NPO、ボランティア、さらに元気高齢者など多様な「新たな担い手」の掘り起こしが目指されている。資格基準の緩和も含め、それらは現在の専門職を本来のより高度な職務にシフトさせることとなり、介護の質のボトムアップにもつながろう。
また、従来の介護予防事業とは異なり、「近所づきあい」のなかで自発的な参加を喚起する仕組みも想定されており、その意味では、コミュニティの力を媒介に「地域づくり」に臨む長期的な視点も込められている。「地域包括ケア」との深い親和性も伺えるところだ。
このように地域の住民や資源を活かしつつ、介護予防につながるさまざまなサービスをふやそうという大きなデザインが描かれる一方、制度としての「わかりにくさ」が普及にブレーキをかけている点は否めない。
総合事業への移行は2年間の経過措置があるが、全国約1,600の自治体のうち今年度からスタートしたのは百数十カ所にとどまっている。自治体、事業者、NPO、さらに住民がその施策の目指すところを理解し、共有しなければ、普及・定着はありえないが、まずは自治体が率先してこの理念の実現に向けて、早期移行に踏み切るべきだ。また事業者、とくに今回の報酬改定で厳しい運営を迫られているデイサービス事業者などにとっても、そこでの試行錯誤を通じ、新たなビジネス領域の可能性について検証することが望まれよう。
本特集では、この「総合事業」につき、あらためて政策的な背景やその目指す方向性を整理するとともに、先行する自治体や在宅介護サービス事業者の視点から、取組みのあり方を考える。
[インタビュー]
■総合事業の目指すものと
行政における取組みのポイント
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
経済・社会政策部 社会政策グループ長 主任研究員 岩名 礼介氏
■自治体と事業者をつなぐ媒体づくりと、
民間のノウハウを活かした地域の雇用創出を
株式会社プレイケア 代表取締役社長 川ア 陽一氏
[注目自治体の取組み]
■報酬単価、事業者とも大きな変更なしで円滑な早期移行を実現
東京都稲城市
■健康づくりと産業創出をつなぐ市民、民間企業、行政でつくる
松本ヘルスバレー構想
長野県松本市
[在宅介護サービスの新事業モデル]
■労働環境の整備による質の高い人材の確保で増収増益モデルを確立
株式会社さくらケア/株式会社うめケア 代表取締役 荒井 信夫
■地域包括ケアの中核サービス、多様な加算と定員増、
職員兼務等で5〜10%増収へ
全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会 代表 川原 秀雄
特別企画
デイサービス
――報酬改定の影響と新戦略
[事業展望]
■報酬改定に伴うデイサービス事業への影響と今後の進むべき方向性
株式会社ケアビジネスパートナーズ 代表取締役 原田 匡
[デイサービス事業者の概況と新・経営戦略]
■加算取得、稼動率アップ、新事業etc.
報酬単価減で求められる安定経営の手立て
編集部
[事例研究]
■報酬単価減と人手不足で4月以降減収
「総合ケアシステム」の外販とFC展開に活路
夢のみずうみ村
■アセスメントとモニタリング力を駆使した
ソーシャルワークで暮らし方を支援
在宅療養支援 楓の風グループ
■小規模型ながら稼動率アップと加算取得で収益減回避
新業態投入でグループシナジー強める
イー・ライフ・グループ株式会社
■デイサービスの本来の役割を考え、
利用者の生活機能向上を目指した新業態を開発
ケアパートナー株式会社
[CLOSE UP]
■チャームスイート新宿戸山
交通至便かつ住環境に優れた
東新宿の地に開設された
チャーム、都内3番めとなる
介護付有料老人ホーム
[今月の話題]
■健康長寿社会の実現に向け、
経済団体、健保組合、自治体、医療機関等が連携
――厚生労働省、健康増進による医療費抑制へ「日本健康会議」を発足
■ジャパン・シニアリビング投資法人が上場
ヘルスケアREITは3銘柄に
――ポートフォリオは有料老人ホーム等14棟、資産規模は280億円
[マーケティングデータ]
■市区町村別[高齢者施設&住宅]需給MAP
21.東京都中央区
22.東京都品川区
[注目企業レポート]
■地域の価値となる高品質なサ高住、
医療・介護拠点の開発で多世代コミュニティを形成
積水ハウス工業株式会社――「ハートヴィレッジ上尾浅間台」
[企業レポート]
■湿度管理の専門知識を駆使して
高齢者施設に理想的な“湿度”を実現
ピーエス工業株式会社
[コラム]
■若手男子マネジャー必読!
女性スタッフのモチベーションを上げる
現場づくりのツボ(8)
高津 智
[連載]
■経営が元気になるクスリ (14)
ケアビジネスパートナーズ 原田 匡
■<リレー連載>福祉はまちづくり(終)
生活環境を整える取組みから考える明日のシニアビジネス
エイジング・サポート 代表取締役 小川 利久
■新・介護保険ビジネス
制度対応のコツとこれからの経営スタイル(4)
小濱介護経営事務所 小濱道博
■介護施設のリスクマネジメント
続・こうすれば成功する事故防止の秘訣 (17)
安全な介護 代表 山田 滋
[DATA FILE]
■都道府県別有料老人ホーム総施設数ランキング
■主要有料老人ホーム事業者総施設数・居室数ランキング
■都道府県別・サ高住総件数・総戸数、特定施設登録件数
■都道府県別[介護保険3施設]受給者数一覧
[News Navi]
◎日本土地建物、CRE戦略の一環で、東京・向島に介護付有老
◎学研ココファン、2人部屋充実のサ高住を平塚市に
◎国交省、高齢者向け住宅を20年度までに高齢者人口の3〜5%に
◎損保ジャパン日本興亜、サ高住事業者向けの家賃保証プラン
◎イオン、介護事業に参入。自社スーパー内に直営デイを開設
◎京葉ガスグループ、千葉の介護事業者をM&Aで新規参入
◎セントケアHD、訪問看護の子会社「ちいき・ケア」設立
◎ローソン、ケア拠点併設店舗の2号店をさいたま市に
◎CCC、スマホによる高齢者サポート会社「ふるさとスマホ」設立
◎東京メトロ、ヒューリックと六本木駅直結のヘルスケアモール開発
◎東京都介護支援専門員研究協議会、新総合事業の大規模研修を10月開催
◎ジェイサットコンサル、ミャンマーで日本向け介護人材育成学校
◎ガネット、全国の介護施設内に介護福祉士養成学校
◎第1回国際介護ロボット博覧会、厚木市で開催
◎遠隔操作型アンドロイド「テレノイド」事業化
◎東京都豊島区、区外での特養整備に関する調査研究会
◎高齢者住宅推進機構、新代表に積水ハウス・和田氏
[Monthly Watch]
◎「平成27年版 情報通信白書」
介護用ロボット、年代が上がるほど利用意向が高まる傾向 |
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