横浜幸銀信用組合
コロナ後も山積する課題に対し、
融資のみならずネットワークを活かしたサポートを提供
長年にわたりレジャーホテル業界をサポートしてきた横浜幸銀信用組合。全国19県29店舗のネットワークを有し、業界特有の事業構造や市場特性などを熟知している同組合は、コロナ禍にあってレジャーホテルの大きな助けとなってきた。本稿では営業本部・法人営業部として融資案件の組成を支える3人に、ポストコロナの業界状況、業界の抱える課題などについて伺った。
企業名 | 横浜幸銀信用組合 |
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TEL | 045-285-7890(営業本部) |
所在地 | 神奈川県横浜市中区尾上町5-77-1 |
URL |
コロナの禍根と販管費高騰
初動の速さと業況把握が“鍵”
──みなさんが携わっている業務内容についてお聞かせください。
岩田 営業本部において法人営業に特化した部署として営業活動に携わっています。お客さまのお話を伺いながら、最適なプランをご提案させていただいております。
金井 当組合はレジャーホテル業界と深いお付き合いをさせていただいており、長年にわたってサポートをさせていただいております。(一社)日本レジャーホテル協会をはじめとする業界の各団体の勉強会や会合にも参加させていただき、業界の市場特性や最新動向、および事業構造などの知見を深めています。そうした積み重ねのうえで、適切なサポートを行なえる点が大きな強みだと思っております。
大久保 本店を神奈川県横浜市に置き、中部、北陸、中国、九州など、全国19県に29店舗を構えており、広域な営業エリアを網羅している点も当組合の強みです。エリアごとに異なる市場特性や経営環境までを理解し、個々の状況に合わせた最適なご提案をすることを心がけております。
──昨年5月にコロナが5類移行となって以降、状況はいかがですか。
金井 当組合は、コロナの感染拡大が起こり始めた2020年3月の段階で、いち早く「緊急対応ローン」の取扱いを開始し、融資相談窓口を各店舗に設置しました。その後、緊急対応ローンと従来のローンの二重返済を回避するため、元金返済の据置き措置を図り、お客さまの負担軽減に努めてまいりました。
大久保 さらにロシアのウクライナ侵攻や記録的な円安などの影響によるエネルギー価格の高騰や物価高が顕在化し、それらに起因するコスト上昇がレジャーホテル経営を大きく圧迫しています。オーナーさまにとってはいまやコロナの影響以上に悩ましい問題となっているようです。
岩田 都市部と地方部など、エリアや立地、ホテル形態などによって市場環境が異なるので、影響にも格差があり、大きく売上げを落として悩んでいるホテルオーナーさまも少なくありません。
金井 当組合では、業績が回復されているオーナーさまに関しては、元金返済の再開という形にさせていただいておりますが、いまだ厳しい経営を強いられているオーナーさまに関しては柔軟な対応を行なっております。
──コロナ禍からの回復が順調なホテルに特徴はありますか。
金井 価格変更やサービス内容の見直しなど、初動の対応が早いホテルや、エリアの状況やレジャーホテルの業況を常に把握されているオーナーさまは回復している傾向がありますね。
大久保 またホテルの特長を活かし他ホテルと差別化が図れているケースや、コロナ後の施策を事前に練られるなど明確な経営ビジョンを持っているオーナーさまは、売上を伸ばしているように感じています。
岩田 私もホテルの強みを活かし、先駆けて利用者のニーズに対応していることが売上げを伸ばす要因と考えています。たとえばあるオーナーさまですと、オーシャンビューの立地という強みをSNSで発信するなどされています。あとはインバウンド向けに「ブッキングドットコム」などのOTAで集客を図り、単価や回転率を改善したケースもありました。
大久保 リベンジ消費で国内の経済活動が再始動しているのに加え、インバウンドの回復も進んでいます。こうした背景による収益改善に期待されているオーナーさまもいらっしゃるかと思います。一方でコスト高や人手不足など、不安な要素も残っています。こうした期待感や課題感に伴うご相談も前もって対応させていただきますので、お気軽にお問合せいただきたいです。
営業本部 法人営業部
主任
営業本部 法人営業部
主任
金井 紀明 氏
営業本部 法人営業部
大久保 諒 氏
コスト高・事業継承・精算機導入など
課題取組みをサポート
──最近はエネルギーや人件費の高騰という文脈での相談も増えましたか。
岩田 そうですね。光熱費をはじめ、調度品などの見直しをされているお話をよく伺います。複数店舗の外線、内線対応をコールセンターで一元管理するといった運営手法もでてきています。
大久保 運営コストの高騰といってもオーナーさまによってその内実は異なります。当組合に早めにご相談いただくことで、効果的な支援を実践できると思います。そのためにオーナーさまとの継続的な対話を大切にしています。
──ホテルの事業承継についての相談や問合せはどうでしょうか。
岩田 件数は多くなっていると認識しております。当組合では、コンサルティング企業などとのネットワークも構築しておりますので、それらを活かしたご提案、ご紹介などのお手伝いをさせていただいております。
金井 地方で1施設の経営をされていたご高齢のオーナーさまから売却のご相談など、後継者問題についてのご相談は以前より増えております。
大久保 また、レジャーホテルは海外の投資家などが非常に興味をもっている業態でもあり、M&Aによる新規参入される法人さまもおられます。
岩田 ただ、新規参入の事業者様には、レジャーホテル事業の利回りの良さだけに着目して、投資目的のみで事業を手がけるケースがよくみられます。ホテル経営の具体的なビジョンをもたず、利益だけを求める経営は、たいてい立ち行かなくなります。そうしたことを、審査時に明確に申し上げることもございます。
──今年の7月には新紙幣が発行されます。精算機の導入のための融資の相談も増えているのではないですか。
金井 もちろんそういうお話もいただいています。精算機は大規模な設備投資になりますので、お客さまの事業規模に応じたご提案をさせていただいています。
大久保 精算機の導入は、売上向上を目的とした投資ではありませんが、投資をしないと売上の維持ができないという部分でもありますので、オーナーさまとしても悩ましい問題だと思います。
──レジャーホテル業界が抱える課題は、複数の要因が絡み合っているような現況だと思います。それを踏まえた融資のポイントをお聞かせください。
岩田 レジャーホテル業界は他業界と比べ投資が多い事業だと認識しております。しかし、コロナ前からのエネルギーコストや人件費の上昇などで収益構造自体が大きく変わり、従来の投資の仕方だと経営が難しくなってきている傾向があると思います。
金井 やはり設備投資にあたって、どの設備に対してどれだけの費用対効果が見込めるのか、お客さまとともに考えるという融資体制をとっています。
大久保 当組合としてもレジャーホテル業界をこれからも支援していくという姿勢には変わりはありません。ささいなお困りごとでもお気軽にご相談いただければ、誠意ももってご対応させていただきます。
──本日はありがとうございました。