あすか信用組合
コロナ前も、コロナ中も、コロナ後も変わらず
個々のお客さまに真摯に対応する姿勢を貫く
常務理事 木村 弘 氏
東京に本社を構え、北海道、東北、関東を商圏エリアとして16拠点を展開するあすか信用組合。レジャーホテル業界との付合いは長く、資金調達のほかにもレジャーホテル経営に関わるさまざまな相談に対応し、業界をサポートしてきた。融資する側からみた、コロナ禍でのレジャーホテル業界の変化や展望などについて、話を伺った。
企業名 | あすか信用組合 |
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TEL | 03-3208-5101 |
所在地 | 東京都新宿区歌舞伎町2-32-9 |
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コロナ禍で売上げを伸ばしたホテルは
早期に返済を再開するケースも
──本店営業部では、普段どのようなお仕事をされているのですか。
黒崎 主に融資を担当しています。業種としては不動産業とレジャーホテル業界のお客さまが多いですね。不動産業の融資に関しては、おかげさまで伸長傾向を維持しており、ここ数年は前年を上回る実績をあげさせていただいています。
田澤 レジャーホテルのお客さまには、コロナの感染拡大がはじまった2020年3月に、緊急事態対応として、元本返済猶予の措置に踏み切りました。当初は1年間の限定措置でしたが、21年以降も半年ごとに見直すかたちで元本返済猶予を継続しています。
一方、22年あたりからは、お客さまのほうから「そろそろ返済を再開したい」とお声かけいただくケースがふえてきました。現在は、引き続き元本返済猶予を続ける方、返済を再開される方、それぞれのご要望に個別に対応させていただいています。
──返済を再開できるくらい売上げが回復したレジャーホテルには、どのような傾向や特徴があるのでしょうか。
田澤 さまざまなパターンがあるので、特定の傾向があるかはわかりませんが、たとえばあるオーナーさまは、都内の山手線圏内のホテル集積地で、おもにデリヘル需要をメインとしたレジャーホテルを展開していました。コロナ禍の初期のころにはデリヘル需要が激減し、それまでルーム100万円/ 月あった売上げが30〜40万円にまで下がってしまい、先が全く読めないと相談にこられて、元本返済猶予を実施しました。ところがコロナ禍が2年、3年と予想外に長引くにつれ、消費者もコロナ慣れしてきたのか、ホテルのデリヘル需要が徐々に回復していったのです。コロナ禍が4年目に入る現在では、コロナ前との比較で80〜90% 程度まで回復しているようです。
そうした状況もあって、そのオーナーさまは返済の再開に踏み切られました。弊社としては、「もしまた状況が悪くなったときには、いつでもご相談ください」とお伝えしています。
黒崎 コロナ禍の初期のころは、総じて都市部の集積地のホテル需要が激減したのに対し、郊外型はコロナ前との比較で70%程度の減少で、大幅減には至っていませんでした。ところが2 〜3年経つうちに都市部の集積地では売上げが回復し、郊外型は70%程度から変わらず、頭打ちの様相を呈しているように感じます。
──コロナ禍にリニューアルを実施したホテルも多かったようです。そうした融資の相談もありましたか。
田澤 はい。「客足が遠のいている今だからこそ」とリニューアルに踏み切ったオーナーさまは少なくありません。後で話を伺うと「あのタイミングでリニューアルしておいてよかった」とおっしゃっていました。コロナ禍でも戦略的な投資を行なうオーナーさまのホテルは、総じて売上げが伸びているようです。
本店営業部 次長
田澤 尚士 氏
本店営業部 渉外課 係長
黒﨑 拓也 氏
融資の際にはオーナーの姿勢を重視
経営に関するさまざまな相談に応じる
──融資の判断をするうえで、重視しているポイントは。
田澤 過去の売上げ実績や事業計画などはもちろんですが、どれだけレジャーホテル事業のことを考えているかも大きなポイントとなります。担当者として嬉しくなるのは、レジャーホテルのことが大好きなオーナーさんです。私が担当するオーナーさんのなかには多店舗展開している方もいらっしゃるのですが、数十店舗のホテル1 つひとつについて、どのような特徴があり、売上げはどのように推移しているかなど細かなことまですべて把握しているのです。そういうオーナーさまを対応すると、融資などの際にも大きな安心感があります。一方で、投資的なニュアンスでのレジャーホテル事業への参入や、利回りばかりを重視するオーナーさんは少々心配になります。
黒崎 私も、レジャーホテル事業に対するお客さまの姿勢は重視しています。ご相談を受けた際にはこちらからもいろいろな質問や要望をお出しするのですが、それらに対してきちんとこちらの意図を汲み取って、寄り添って答えていただくオーナーさまには、私も好感をもちますし、頑張ってサポートしようという意欲が湧きます。
──元本返済猶予や返済の再開に関する相談のほかには、どのような相談がありますか。
田澤 最近目立っているのは、事業承継についてです。多店舗展開をしているオーナーさまのなかには、すべてをご子息に承継するのではなく、事業を支えてくれた側近や、支配人などに暖簾分けのようなかたちで分配を希望され、相談にこられることもあります。
黒崎 売買に関するご相談も多いですね。たとえば、都心ですでにレジャーホテルを持っていらっしゃるオーナーさまが、同じ都心の近隣エリアで多店舗展開を計画し、売り物件を探して相談にいらっしゃったこともありました。最近は都心でなかなかいい物件がみつからず、みつけても高額ということで、私どもがなにか情報をもっていないかと訪ねてこられるのです。
また、地方のオーナーさまが都内近郊の物件を探しに来られるケースもあります。人口流出が進む地方ではレジャーホテルのマーケットも縮小の一途ですから、首都圏に新たなマーケットを開拓したいと相談にこられます。
田澤 レジャーホテル業界への新規参入を計画している方が、特定のエリアのマーケット情報などを聞きにこられる場合もあります。先ほどもお話ししたように、利回りばかりを気にして運営ノウハウをなにももっていないお客さまに対しては「具体的にどのように運営していく計画ですか」「本当に大丈夫ですか」などと念を押すこともありますが、真摯にレジャーホテル経営の可能性に向き合う新規参入者の方に対しては、可能な範囲でオーナーさま同士のマッチングや、有益な情報の提供をさせていただきたいと考えています。
あくまで個々のお客さまと向き合い
引き続きレジャーホテル業界を支援
──この3月からはマスク着用義務が撤廃され、5月にはコロナが「5類」に移行されます。一方、来年には新紙幣が導入され、精算機の入替えなどで融資の相談がふえることが予想されます。貴組合はどのような姿勢で事業を展開していきますか。
田澤 基本的に弊社の事業姿勢は、コロナ前も、コロナ中も、コロナ後も変わりません。個々のお客さまのご要望に真摯に対応し、レジャーホテル経営をサポートしていきます。
コロナについては「5類」に移行したからといって、すぐに売上げがあがるとは思えません。コロナ前との比較で2~3割程度の減収傾向は今後も続いていくと思われます。私どもとしても、そうしたレジャーホテル業界の現状をしっかりと認識したうえで、オーナーさまの困りごとを解決するお手伝いをさせていただきます。
新紙幣問題に関しても、まだ具体的な融資の相談は少ないですが、通常のリニューアル融資の相談などと同様に対応していくことになります。
黒崎 これまでどおり、あくまで個々のお客さまと向き合っていきます。なにか困りごとがあったら、どんなことでもご相談ください。一担当者では手に余るような問題でも、私どもがもっているチャネルを駆使して、対応させていただきます。
──本日はありがとうございました。