㈱メトス
カンデオホテルズのサウナをメトスがリニューアル
「I K I」導入でサウナ愛好家からも注目
──メトス/カンデオホテルズ
〝4つ星ホテル〟というコンセプトを掲げる「カンデオホテルズ」が同チェーンの特色の1つでもある「スカイスパ」内のサウナ室リニューアルを進めている。
リニューアルでパートナーを組むのは、国内におけるサウナメーカーのパイオニアである㈱メトスだ。
本稿では、今回のリニューアルの背景やポイント、反響などについてレポートする。
唯一無二の体験価値を提供
スカイスパ、サウナが人気
カンデオホテルズは、今年で創業20周年を迎える㈱カンデオ・ホスピタリティ・マネジメントが運営するホテルチェーンだ。そのコンセプトは、〝4つ星ホテル〞。「単にビジネスホテルとラグジュアリーホテルの中間のポジショニングというだけでなく、上質さと使いやすさを兼ね備え、従来のホテルではかなえられなかった唯一無二の体験価値を届けるという誇りと思いが込められています」と、カンデオ・ホスピタリティ・マネジメントのヴァイスプレジデント 玉井久弥氏は説明する。
創業当初はロードサイド立地への開業がルト地帯を中心に28棟、5,770室を展開している。ベストレート保証、アップグレードなどの特典がある会員制度「CLUB CANDEO」(登録無料)を運営しており、会員の男女比は6対4。年齢では、30歳代半ばから40歳が最も多く、次いで50歳代が多い。
普段からよくサウナに入浴する愛好家の年代層とマッチしており、サウナと宿泊をセットで利用したいというリピーターを獲得しているのがみてとれる。
カンデオホテルズの大きな特徴は、最上階からの景色を楽しめる大浴場スカイスパだ。東京・上野公園店を除く全施設に設置されており、日帰り入浴が可能な店舗も多い(条例等により不可能な自治体を除く)。スイスパにはサウナも併設され、「3B(Bed、Bath、Breakfast)戦略」を掲げる同ホテルの重要な体験価値のひとつとなっている。実際、宿泊者の約9割がスカイスパを利用しており、「スカイスパがあるからカンデオを選んだ」「スパが気に入っている」といった声も多いという。また「外国の方々は、日本のお風呂やサウナへの関心が高く、S N S等で情報も収集しています。お風呂、サウナを体験したいという声も多いので、われわれとしてもインバウンドの方向けのスパ、サウナ戦略を重要視しています」と玉井氏。外国人宿泊者はホテル探しの際、「スパ」を検索ワードに入れることが珍しくないという。浴槽だけでなく、インバウンドにもなじみの深いサウナがあること、同ホテルのベッドのマットレスと同様に、サウナヒーターにもハイブランド・ハイクオリティのこだわりがみられる点は、外国人客の心を掴むところであろう。


カンデオホテルズは2022年以降の新規ホテルにオートロウリュ式のサウナを導入。サウナヒーターにはサウナの本場・フィンランドの「iki」を採用


宿泊者の約9割が利用する人気のスカイスパ。開放感のある非日常的な空間で、のんびり入浴。上下とも写真は2024年4月にリニューアルした「カンデオホテルズ
福山」(広島県福山市)

街の夜景を一望できる天空風呂として極上の癒しを提供(カンデオホテルズ福山)
順次オートロウリュにリニューアル
アフターも手厚いメトスに信頼
カンデオホテルズでは、2022年以降の新規開業施設にオートロウリュ式のサウナを導入しており、利用者の評価も高い。一方、創業初期に開業した施設などでは老朽化が目立つようになってきたため、一昨年より順次リニューアルを実施し、新店舗で好評のオートロウリュ式サウナや、内装デザインを導入している。このリニューアルはサウナ事業における経験やノウハウが豊富な㈱メトスが手がけ、24年中だけでもカンデオホテルズ6施設のサウナ室の改修が完了した。「古くなった機器を入れ替えるだけの施設も多いですが、カンデオホテルズさんでは新店におけるサウナの評価や利用者の声を踏まえて、サウナ室を進化させたいとの考えがあり、当社もその方向でお手伝いさせていただきました」とメトス 営業本部 東京営業所の山本啓嗣氏は話す。リニューアルが進むにつれ、サウナ愛好家の注目度もより高まっているようだ。
カンデオホテルズでは、これまで新規開業施設のサウナの多くをメトスに依頼してきた経緯があり、信頼も厚い。「ホテル側にとっては、サウナ設置後のフォロー体制も非常に重要です。メトスさんはアフターフォローも素晴らしく、今後ともよいお付き合いをしていきたいパートナー企業です」と玉井氏。アフターフォローは、メトスとしても重要視している点の1つでもある。山本氏は「ほぼ休みなくフル稼動の施設においては、メンテナンスやトラブル対応などのスピードが非常に重要だと考えており、施設運営者様からも迅速なアフターフォローをご評価いただいていると思います」と話す。
たとえば今回のリニューアルではフィンランド製サウナヒーター「I K I」を導入しているが、メンテナンス用の予備機材を常時備えておくなど、バックアップの体制にも余念がない。
山本氏は「サウナを止めるとなれば、ホテル様にも、サウナのご利用者様にもご迷惑をかけてしまいますが、運営者様と一体となってそれを最小限にするよう努めています」と説明する。
直近でリニューアルが行なわれたのは「カンデオホテルズ大宮」(さいたま市大宮区)だ。19年に開業した同施設は、新築時にメトスがサウナを手がけていない施設の1つであった。男湯にはドライサウナ、女湯にはミストサウナが設置されている。J R「大宮」駅から徒歩6分の好立地にあり、日帰り入浴者も相当数あるため、開業5年を機に男湯ドライサウナのリニューアルに踏み切った。
「時間も費用も限られたなかでの改修となったため、元のレイアウトを活かしつつ、ホテルのコンセプトにも配慮しながらヒーター選定やベンチ変更を行ないました」と山本氏は話す。こうしたハード面での制約があるなか、メトスのノウハウを活かしてリニューアルされたドライサウナは、2月8日より営業を再開している。
カンデオホテルズでは、サウナ利用者向けの独自のサービスについても計画している。「たとえば、昨年では利用者様にイオンウォーターを提供したほか、「いい風呂の日」(11月26日)、「いいサウナの日」(3月7日)をはじめ、特定の日には特別なサービスを付加するなど、より多くの方に体験いただき、喜んでいただけるようにコンテンツの拡充にも取り組んでいます」と玉井氏。スカイスパ、サウナという体験をソフト面でも充実させ、サウナ愛好家をホテルに積極的に取り込んでいきたい考えだ。
一方メトスは、今後も宿泊施設のニーズに応じていくことに加え、スポーツシーンにおけるサウナの価値提供の可能性を広げていきたいとする。山本氏は「サウナ室は、これまではメディテーションや瞑想的な空間といった位置づけが多かったように思います。今後はリラクゼーションという分野にシフトし、開放的な空間で体験できる温浴施設としても重要視されてくるのではないかと考えています」と語った。
会社概要
社名 | ㈱メトス |
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創業 | 1947年 |
資本金 | 1億円 |
主な株主 | 昭和飛行機工業㈱ |
本社所在地 | 東京都中央区築地6-16-1 築地616ビル |
営業所 | 札幌/仙台/東京/名古屋/大阪/福岡/沖縄(出張所) |
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