㈱アルメックス
●INTERVIEW
コロナ禍を契機に進化するホテルDX
「ローコストオペレーション」「非対面・非接触」は今後も必須要件に
坪井将之氏
㈱アルメックス 取締役・常務執行役員
マーケティングセールス本部長
企業名 | ㈱アルメックス |
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所在地 | 東京都品川区上大崎 3-1-1 目黒セントラルスクエア |
TEL | 03-6820-1440 |
URL |
【写真1】セルフチェックイン型KIOSK(自動精算機)
USEN-NEXT GROUPの㈱アルメックスは、以前から「テクノホスピタリティ」を掲げてホテル業界の省人化・省力化へのニーズに応えてきた。同社取締役・常務執行役員でマーケティングセールス本部長の坪井将之氏に、コロナ禍およびこれからの同社の取組みについてうかがった。
自動精算機が当たり前の世界の
さらに先へ
私たちは、このコロナ禍前からさまざまなホテル様に省人化・省力化によるローコストオペレーションを勧め、セルフチェックイン型KIOSK(自動精算機)(写真1)、ホテル管理システム(PMS)「Wincal(ウィンカル)」、簡易宿所向け宿泊管理システム「innto(イントゥ)」などのソリューションを提供、ホテルDXに携わってきました。
ローコストオペレーションというテーマや、KIOSKをはじめとするソリューションは、もともとホテル様の雇用確保がむずかしい時代に対応したものでした。そこにコロナ禍によって非対面・非接触という新たなニーズが加わったことで、私たちの取組みが見直され、認知度が高まったのを感じています。
実際、コロナ以前の私たちのビジネスモデルは宿泊特化型ホテル様中心のものでしたが、コロナ禍によってこれまで導入のほとんどなかった観光ホテル、ハイエンドのシティホテル、旅館といったクライアントが急増しています。
コロナ禍がもたらしたインバウンド・ビジネス・観光需要の消失で、ホテル業界は苦しい状態にあり、どの事業者様もキャッシュアウトを絞らざるをえませんが、キャッシュアウトのなかでも最も大きいのは人件費です。
人件費を抑制するには、ローコストオペレーション、非対面・非接触のオペレーションが必須で、それはコロナが収束したとしても続くでしょう。一時的に人員削減を行なった後、また集客したからといっても、なかなか前の状態には戻せないのは当然です。KIOSKのようなセルフチェックイン/自動精算機が当たり前の世界がやってきています。
私たちは、KIOSKが当たり前の世界のその先を行くオペレーションを追求し、2021年に2つのソリューションをリリースしました。
1つめは、宿泊施設向け公式アプリサービス「Stay Concierge(ステイ・コンシェルジュ)」(写真2)です。
「旅マエ・旅ナカ・旅アト/安全でスマートな旅をサポート」をキャッチフレーズとしたステイ・コンシェルジュは、検索・予約・決済といった旅マエの機能、ホテルまでのルート案内、KIOSKにQRコードをかざすだけのスマートチェックイン/チェックアウト、付帯施設やその混雑状況の案内、多彩なサービスのオーダーといった旅ナカの機能、利用者アンケート・イベントやキャンペーンのプッシュ通知といった旅アトのホテルのプロモーション機能を搭載しています。
利用者のスマホをルームキー代わりにすることもできますし、私たちの提供するインフォメーションサービス「IoTターミナル」[図表1]と連携すればスマホで客室内の照明・空調・VODのコントロールも可能になります。
すでに数十件の導入実績があり、導入されたホテル様は短時間・低コストで公式アプリを開設し、シームレスで非対面・非接触のサービスを提供しています。ホテルと利用者をダイレクトにつなぐツールとして、利用者の囲い込みにも大きく貢献できるに違いありません。
2つめのステイ・コンシェルジュのWeb版ともいうべきオンライン事前チェックインサービス「プリ・チェックイン」[図表2]は、OTAや自社サイトで予約した利用者に情報を登録してもらうことでKIOSK端末とQRコードでのスマートチェックインを可能にするものです。
アプリのダウンロードが不要で、手軽で安価にシームレスなサービスが実現できるプリ・チェックインは、この3月に九州と大阪の3つのホテルグループ店様で導入予定となっています。
ステイ・コンシェルジュ、プリ・チェックインとも、ゆくゆくはKIOSK端末での顔認証機能を実装します。私たちは顔認証技術に注力しており、昨年、医療機関向けにオンライン資格確認対応顔認証付きカードリーダー「マイナタッチ」をリリース、KIOSK端末での顔認証についてはゴルフ場での実証実験を開始しています。
オフィスの勤怠管理のソフトウェアやゲートとの連携を視野に入れれば、将来的にはオフィスやイベント会場にも転用できるシステムになるでしょう。
一元的遠隔管理で
フロントを無人化・省人化
非対面・非接触、そしてローコストオペレーションへの取組みとしては、CIO(セントラル・インタラクティブ・オフィス)も挙げておかねばならないでしょう。
これは、フロントを無人化ないし省人化し、複数のホテルを一元的に基幹店舗もしくは本部オフィスで遠隔管理するもので、スタッフはフロントのKIOSK端末のカメラとマイクを通して利用者に対応します。利用者は非対面・非接触でサービスを受けられ、ホテルは人件費の軽減になります。
旅館業法のレギュレーションや各ホテルのオペレーションの違いもあり一概には言えませんが、導入したホテルでは3人体制だったフロントを1人体制とし、ローコストオペレーションを実現しています。
また、コロナ禍で稼動が低下し、どのホテル様でも囲い込みを意識して顧客データの重要性を見直されています。それを受けて、私たちはこの秋、刷新されたPMS「Wincal X(ウィンカル・エックス)」をリリースする予定です。顧客データは完全にパブリッククラウドに載せられ、情報共有やマーケティングへの活用がより容易になり、利用者の囲い込みへの貢献が期待されます。
ホテルとバックヤードを支えるベンダーとして、私たちがこれからも提唱していきたいのはローコストオペレーション、そして非対面・非接触で利用者が安心してホテルを利用できるように、スタッフが安心して働けるようにすることです。
並行して、少子高齢化・労働人口の減少という日本の社会的課題に向き合い、サステナブルにお客様が繁栄していただけるようなソリューションを提供し続けていけたらと考えています。
【図表1】インフォメーションサービス「IoTターミナル」のイメージ
【図表2】オンライン事前チェックインサービス「プリ・チェックイン」