TOPICS

「ふふ 箱根」
敷地形状を有効活用し絶景ビューを実現。
連泊を促す仕組みづくりに注力


 
「ふふ」ブランドの6施設目「ふふ箱根」が構想から5年を経て1月26日にオープンした。事業主はヒューリック㈱、経営はヒューリックふふ㈱、開発プロデュースおよび運営はカトープレジャーグループ。
 
 施設が立地するのは箱根登山鉄道「強羅」駅から車で5分ほどの、中心部から少し外れた緑豊かで閑静なエリア。箱根一帯を形成するカルデラの外輪山ふもと部分に位置し、約25mもの高低差を有する敷地形状のため周囲を取り囲む箱根連山を一望できる。こうした立地環境から、近隣でカトープレジャーグループが運営する「箱根・翠松園」が森の中に佇む施設であるのに対比して、周囲に広がる絶景を楽しむことができる施設づくりへと当初計画を変更。より理想的なビューを実現するため隣接地を買収し、敷地面積を1・5倍に拡大、それにより施設もゆとりある空間を実現している。また、地盤が亀の甲羅のように固く、〝強羅〞という地名がつけられたという歴史や土地の特性から、施設コンセプトは「森林の香り岩と草花箱根連山が広がる山のリゾート」と設定。もともとの土地にあった岩石や樹木などの自然や環境を効果的に採り入れながら計画を進めてきた。
 
 施設は1万㎡超の敷地に全4棟からなる建物で構成され、そのすべてが箱根連山が広がる渓谷に対面できるよう配棟。本館1階のエントランスから入館し、3階のロビーを抜けた先に一ノ棟、二ノ棟、三ノ棟へとつながる遊歩道が続く。客室は50~120㎡の8タイプ・全39室で、全室スイートクラスのスイートラグジュアリーリゾート。グレーや木目調と落ち着いた色合いの内装に、ゆったりと腰掛けられる大きなソファを設え、室内のところどころに植栽や岩石もポイントとして採り入れられている。さらに前述したような配棟計画の妙により、天井までの大きな窓からは箱根連山のパノラミックな景色を望むことができる。
 
 

 2種類の温泉が引かれていることも大きなポイントだ。全客室の窓際に配された石造りの浴槽では塩化物を含む「強羅温泉」、施設で最も標高の高い一ノ棟最上階の展望大浴場では「大桶谷温泉」と、異なる効能をもつ泉質が楽しめる。また、スパ「桧香–HINOKA –」にはヒノキパウダーを使用した温熱木浴を導入。浴槽内のパウダーは微生物による自然発酵の力のみで65~85度まで温まるため、電気やガスなどの設備も使わないエコな運営が可能だ(60分6000円、全身トリートメント1万5000円ほか)、レストランは日本料理84席と、その一角に鉄板焼き6席を配置。半個室や衝立のあるカウンターなどでプライバシーが確保できるよう配慮した。また、料理は「ふふ」シリーズ初のプリフィックススタイルを採用し、メインは13品のなかから3品を選べる。食事のバリエーションとチョイスする楽しさで連泊やリピートを促す仕掛けとして機能させたいとする。
 
 宿泊料金は4万1400円~(税サ入湯税込み、2人1室利用時1人当たり)。販売促進は同グループが有する既存顧客2万人への発信を優先的に進める一方、特にリピートの多いVIP客には試泊体験も提供しすでに追加の予約も入っているとのこと。また、「箱根・翠松園」との間では無料送迎も行ない、相互利用を促進。すでに2施設間での連泊予約も入りつつあり、今後は利用者の嗜好などの情報をグループ全体で蓄積・共有しつつサービスクオリティを高め、全国のふふブランドで回遊を促していくとしている。

加藤友康氏(カトープレジャーグループ代表取締役兼CEO)インタビュー掲載
LinkIcon 『月刊レジャー産業資料』2022年3月号販売中