綜合ユニコム|編集長だより | [ホームへ戻る] |
【2005.07.22】 |
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蛍の群舞もプロパティマネジメントのおかげ? 先月下旬に家族旅行で長野県の鹿教湯(かけゆ)温泉に出かけました。湯治場として知られた温泉で、レジャーよりも保養が目的の高齢者が目立つ温泉街です。訪れたのがちょうど蛍の時期ということで、地元観光協会が主催する「蛍観賞ツアー」に参加、長野県丸子町の狐塚という場所にでかけました。 小高い丘を散策しながら、蛍を楽しむといった内容で、「今年は上流で工事があるため例年ほどではありませんが」とのことでしたが、確かに夜空を小さな光が明滅しながら群舞するさまは幻想的でした。もっとも、蛍以上に多くの人出で賑わっており、「この思い出は小さなお子さんの心にきっと残るはずです」というガイドさんの言葉とは裏腹に、うちの子供の頭にはラッシュアワー並みの人ごみの記憶しか残らないかもしれませんが。 ところで私自身、実際に蛍をみるのは初めての経験だったのですが、私の出身地である新潟県巻町は、現在、「蛍の里」として売り出しています。不思議に思い実家の両親に聞いてみたところ、私の小さいころは「田んぼや畑は化学肥料に農薬さまさまで、蛍はいなかったからね」という返事。蛍を楽しむには、自然の環境をきちんとメンテナンスしておかないといけないわけです。 丸子町の蛍観賞ツアーでも、同じように自然環境の保全には力を入れているようで、それだけでなく周辺の民家にも夜は極力明かりを消すといった協力もしてもらいながら、蛍を育てそれを楽しむ環境を整備しているわけです。ツアーでもうひとつ興味深かったのは、蛍は地域によって微妙に種類が違うから仮にその地域の蛍が絶滅してしまっても、他の地域からもってくることはできないという言葉。つまり、蛍は究極の地域に根ざした資源というわけです。 不動産の価値を上げることがプロパティマネジメントの役割だとすると、蛍を育てそれを楽しめる環境を整備することもプロパティマネジメントだといっては強引に過ぎるでしょうか。こんなことを考えてしまったのも最近では、リゾート・観光地のホテルやスキー場にも投資対象が広がっており、寂れてしまったホテルやスキー場にも注目が集まっているからです。 こうしたケースでは、プロパティマネジャーは単に施設の管理をしっかりやればいいというわけにはいきません。温泉観光地などでも地域としての取り組みをきちんとすることでその温泉地の評価を高めている(言い方を変えれば温泉地の不動産価値を上げている)ところもあります。今後は、街づくりや地域おこしにおいても、“経営”の視点を取り入れ、プロパティマネジメントとして地域の不動産価値の向上を図っていくことが必要になると思います。 (成田則章/月刊プロパティマネジメント) |
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