大型のオフィスビルが新規開発される一方で、経年劣化し低稼動の事業用ビルや遊休化した企業所有施設の収益改善が大きな課題となっています。特に競争力の落ちた築古中小規模ビルは旧耐震、検査済証がないなど、既存不適格建築物がほとんどといっても過言ではなく、リノベーションやコンバージョンの難易度を高めています。また、需要が高まる宿泊施設やワークスペースなどへの転換が常態化し、マーケットニーズに対応したリブランディングがなされなければ同質化競争に陥って再生は困難になります。
一方、物流危機などを背景にして首都圏の圏央道沿線や湾岸エリアを中心に高機能メガ倉庫の建設が進められている半面、テナントニーズにマッチしなくなった都心部の築古倉庫の空きスペースが拡大しています。しかし、都市型倉庫は鉄道駅に比較的近いなど立地条件がよいところも多く、時代を経た佇まいや倉庫特有の空間が付加価値として認められ、物流用途に限定しないリノベーション・コンバージョンによって収益化に成功している物件も少なくありません。
本資料集は、築古[ビル・倉庫]の資産価値向上(再生)を図るためのリノベーション・コンバージョンについて、物件の検討・判定から設計・施工、リーシング、運営・管理まで、再生に向けた実務のポイントを解説いたします。
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