不動産事業への投資、開発意欲が依然として高まりをみせるなか、老朽化した事業用ビルや賃貸マンション、耐震不足の区分所有マンションまで、建物建替え計画が各所で進んでいます。
しかし、再開発において既存建物のテナント・入居者の立退きは、常に大きな課題であり、開発事業者の明渡交渉能力が事業の成否を大きく左右する時代となりました。
明渡交渉が容易ではないのは、法的制約とともに、立退料の算定および移転先の確保がむずかしいことや、テナントが不当な立退料を求めてくることなどに起因します。
こうした場合のテナントへの対応方法、また訴訟提起を見据えた際のリスクの低減など、オーナー側に求められる明渡交渉の能力は専門かつ高度化しています。
本書は、旧館「不動産再開発・建替えのための建物明渡交渉マニュアル」(2012年3月刊)を踏まえ、建替え事業を確実に、遅滞なく行ない、かつテナントとの明渡交渉を不当な立退料の支払いを回避し、トラブルを抱えることなく円滑に進める手法を体系的に整理。明渡交渉に臨む事前段階の準備と手段、明渡交渉に関わる法的解釈、スケジュール計画、実際の交渉手順と留意点、必要書類の作成手法に加えて、用途別・交渉段階別の立退料のケーススタディおよび近年の判例等について増補解説します。
再開発事業者の皆様に、再開発・建替え事業推進の鍵を握る明渡・立退き・移転交渉の手引書としてご購読をお勧めいたします。
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