投資対象としても注目される新形態ホテル
インバウンドの急激な増加を背景に、わが国の宿泊産業の市場は成長し続けています。投資市場においても2014年以降、売買案件は件数、客室数とも高水準を維持しております。そうしたなか、投資対象は広がりをみせており、早い投資回収が見込めるコンドミニアムホテル、タイムシェアの販売手法が再評価されています。
コンドミニアムホテルの購入には投資目的と利用目的があります。投資目的としては、オーナーが客室を購入後、リースバックし、自身が利用しないときに、ホテル客室として貸し出し、収益が還元されるマネジメント手法が導入されています。この方式は、オーナーにはもちろんのこと、デベロッパーには販売価格や販売ペースを高め、ホテルオペレータにはピークシーズンに供給量をふやすことができるなど、三者にとってメリットが生じます。
一方、ホテル等の宿泊施設を共同で所有する形態としては、タイムシェア方式があります。日本でも以前より商品展開はされていますが、日本版“タイムシェア”には、世界標準規格とはいえない部分があります。基本的に欧米型は、1年を52週に分割し、1週間単位で販売する方式が一般的で、公式には「バケーション・オーナーシップ」と呼ばれています。通常の不動産分譲事業に比べて、収益性に優れている反面、販売口数が多い分、システム設計や販売方法にはいくつもの工夫が必要となります。なお、昨今では欧米型タイムシェアでも、より柔軟な利用を提供するためにポイント制を導入するなど、その手法は多様化してきています。
本書では、多様化するホテル事業のひとつとして、滞在型ホテルに注目し、コンドミニアムホテル、タイムシェアの事業特性や開発事業計画・販売・運営手法を解説するものです。
開発・導入を検討されている事業者、ホテル・旅館、投融資に携わる金融機関のご担当者など、広く関連事業者の皆様にご購入をお薦めいたします。 |